IDTのフェーズドアレイビームフォーマーICは、5G、Satcom、レーダー用途のコスト効率に優れた次世代システムソリューションを実現します。各ビームフォーマーICには独立して制御できる複数のアクティブチャネルが含まれており、電子スキャンアレイアンテナ(ESA)での基本的なビームパターン操作が可能です。平面BGAまたはQFNパッケージではコンパクトなICを使用できるため、スペースを取らないスモールフォームファクタのフェーズドアレイアンテナが実現します(エレメントスペースλ/2)。ICは送信専用(Tx)、受信専用(Rx)、または送受信(T/R)から選択できるため、5GとSatcomで一般的に利用される周波数帯域がすべてカバーされます。IDTのビームフォーマー製品ラインは、低価格のフェーズドアレイアンテナの需要が高まるなかで急速に導入を増やしています。

28 GHz 2x2のフェーズドアレイビームフォーマー

IDTの4チャネルミリ波F5280ビームフォーマーは、5Gフェーズドアレイ用途向けの高度なSiGe BiCMOSプロセスを利用して設計された、T/R(TDDまたは半二重)シリコンICです。28 GHzを中心とした一般的な5G mmWave帯域幅に世界規模で対応します。

コアICでは6ビットフェーズの制御と、各チャネルで35 dBを超える利得制御が可能であり、放射エレメント間で良好なビームステアリングと利得補償が得られます。さらに各ICにはオンチップのビームステートメモリと、高速デジタルインタフェースが搭載されているため、高速のビーム更新レートが実現しており、整定時間も最短になっています。

Ku-Band、K/Ka-Band、CDL 8-Chフェーズドアレイビームフォーマー 

IDTの8チャネルビームフォーマーは、Satcomフェーズドアレイ用途向けの高度なSiGe BiCMOSプロセスを使用して設計された、RxまたはTx(FDDまたは全二重)シリコンICです。ICの物理フットプリントは、λ/2スペースの二重偏極エレメントの2x2サブアレイとの統合が最適化されています。IDTのF6501、F6502、F6503ファミリは、既存の静止(GEO)衛星配置、新しい低/中地球軌道(LEO/MEO)衛星配置のほとんどで利用される、3つの主要なアップリンク(Tx)周波数帯域に対応しています。ダウンリンク(Rx)については、補完パーツのファミリ(それぞれKu、K/Ka、CDL帯域に対応するF6101、F6102、F6103)が用意されています。空中、地上、海上に対応するSatcom端末に加えて、これらのICは、別個のTxおよびRxフェーズドアレイアンテナを使用するレーダーシステムやその他の用途でも利用できます。   

フェーズドアレイビームフォーマー、ビームステアリングとは何か

フェーズドアレイビームフォーマーIC(「アクティブビームフォーマー」または「ビームフォーマー」)は、アンテナ配列上の各放射エレメントにおけるRF信号の位相と振幅を制御することで、ビームフォーミングとビームステアリングを可能にします。それにより、アンテナのフリースペースの放射パターン上で選択した場所での、建設的干渉と相殺的干渉のポイントを指定できます。エネルギーのビームを狭くして、モバイルユーザーまたはモバイル端末の方向に迅速かつ動的に転換させることが可能になります。この技術を利用したアンテナは、電子式走査アレイ(ESA)、アクティブ電子式走査アレイ(AESA)、または簡単にフェーズドアレイと呼ばれます。

フェーズドアレイにより、データレートが高い場合でも信頼性と効率性に優れた接続が実現します。機械的に方向転換するアンテナに比べ、地上のプラットフォームと静止(GEO)衛星、または高速で移動する低周回軌道(LEO)衛星間で衛星通信(Satcom)とデータリンクをすばやく確立し、高い信頼性で維持できます。さらに、機械的なジンバルアセンブリが不要になることで、アンテナは小型になり、メンテナンスコストが低減し、システムの信頼性は向上します。アクティブアンテナシステム(AAS)用途では、フェーズドアレイによって4Gと将来の5Gネットワークで大量のMIMO(mMIMO)処理が可能になるため、スペクトル効率とスループットが向上します。

AESAは30年以上にわたって軍事用途で活用されてきましたが、そのコスト、システム規模、重量、消費電力(SWaP)の大きさから、商用として導入することは容易ではありませんでした。しかしシリコンビームフォーマーICの登場と高周波数の割り当ての実現によってmmWaveスペクトル帯を利用できるようになったことで、AESAが広範に導入される状況になりつつあります。